空気を見える化してみよう!【トランペット】

こんにちは。トランペット講師の高本です。
今日は管楽器を演奏する際に欠かせないテーマ『呼吸について』少し考えてみたいと思います。

管楽器 = Wind instrument

管楽器は、英語で言うところの「Wind instrument」で、直訳すると「風楽器」となります。
当たり前ですが「Tube(管) instrument(楽器)」ではありません。
見事な意訳で面白いです。

練習の過程では、アンブシュア・タンギング・指使い・その他様々な要素が必要になりますが、それらが機能するためには、うまく空気が使えていることが大前提となります。

例えば、、そうですね、車!僕は車が好きです!
憧れの「フェラーリ F50」が、目の前にあったとしましょう。
(もしイメージ出来なければ、調べてみてください。速くてかっこいいです。そして、値段が高いです。)

いくら良いボディ・エンジン・タイヤがあっても、ガソリンが無くては車は走ってくれません。
ついつい忘れがちですが、いくら素晴らしい楽器・アンブシュアetc...があっても、空気の流れがなくては音は鳴りません。
(ちなみに、フェラーリは走らなくても充分かっこいいと僕は思います。)

空気を見える化

空気の流れを確認する

【1:紙を用紙して息をあてる】

さて、そこで!いかにして空気を使うか考えていきたいのですが、
その時に問題になるのは「空気の流れは目に見えない」ということなので、見えるようにしてみましょう!

まず、何か一枚ものの紙を用意してみてください。(オススメはA4の安いプリンタ用紙です)

空気を見える化

図1のように口の前に持っていき、沢山空気を吸って吐いて、ヒラヒラさせてみましょう。
どうでしょうか?紙はしっかり動いていますか?

【2:長時間キープする】

それが出来たら、長い時間紙をヒラヒラしたままキープできるよう、空気を沢山吸って流し続けてみましょう。

【3:腕を出来るだけ遠くへ伸ばす】

さらに次は腕を出来るだけ遠くまで伸ばして、同じようにヒラヒラさせてみましょう。

気がつくこと

どうでしょうか?
うまく紙は動いてくれていますか?

はい。皆様お気付きの通りここで最大の問題は僕の絵心ですが・・・
ポイントは、身体全体が1つのポンプのようにイメージを持ち、太い空気の柱をたっぷり紙に向かって送り出すことです。

簡単です。

ケーキのローソクを消したことがある人であれば誰でも出来ます。
気楽に遊びのつもりで取り組んでみてください。

こうして「空気を見える化」すると、身体の中に力みが入ると逆に空気がうまく流れず、無駄な力が入っていない状態の方が簡単にたっぷり流せることに気がつくことが出来ると思います。

慣れてきたら、紙に風を当てながら、何か今取り組んでいる曲のメロディーやフレーズを吹いているつもりで、タンギングもつけて空気を流してみましょう。

さぁ、どうでしょうか?
紙はヒラヒラと動き続けていますか?

このトレーニングで自然な空気の使い方を覚えて、楽器を吹く時も同じ感覚で空気を気持ちよく流し続けるようにしてみましょう♪

【ポイント1】
もちろん、楽器を吹く時には各楽器や音域特有の空気を流すことに対する抵抗感があります。
抵抗に対抗しようと無理矢理空気を流そうとすると身体の中に力みが生まれて、空気が止まってしまいがちです。
かといって抵抗に全く逆らわずヘナヘナになってしまっても、発音がうまくいかなかったり弱々しい音になってしまいます。
抵抗をうまく利用して、抵抗にたっぷり風を当て続けるようなイメージで元気良く吹くと楽器が楽によく響いてくれます。
【ポイント2】
また、音が鳴っている時には、空気の流れが振動に変わっているために、流れている空気の量自体は少なくなります。
しかし振動を起こし続けるには同じ量の空気を流すくらいのエネルギーが必要なので、たっぷり流し続けるという感覚が役立ちます。

譜面で実践

スラーで練習

譜例1

実践として、譜例1を吹いてみましょう!

紙に空気を流した時のように、なが~~~く音を伸ばしているつもりで吹き続けます。
豊かな響きが途切れないように練習してみてください。

だんだん音が増え、音域が広がっていきますが、いつも空気の流れが効率良く音に変わり続けるように練習してみてください。
もしどこかで嫌な力みが生まれて、音の響きが細くなったり音が途切れてしまうようであれば、1つ前の音に戻って慣れるまで練習してから再チャレンジしましょう。

ポイントは、高い音に向かう時に、より遠くまでたっぷり空気を流すように音量を少し大きくしていくと、音がうまく繋がりやすいです。

スラー+タンギングで練習

譜例2

譜例2は、タンギングを交えたパターンです。
スラーの時とタンギングの時で吹いている感覚が同じになるように、空気は流し続けたまま!
舌だけを動かして音をクッキリハッキリ、素早く区切っていきます。
うまくいかない時は、楽器を置いて空気だけで練習して舌の使い方を覚えてから、同じように吹いてみることをオススメします。
音の響きにムラがないよう美しく吹くことを目指しましょう!

まとめ

最後に、呼吸の方法について話す時、日本語だと「息を○○○」「もっと吸って」「もっと吐いて」という表現になりますが、海外のプレイヤーのレッスンでは「Air movement = 空気の動き」「air flow = 空気流」という表現がしばしば使われます。

「吸う」「吐く」というと、身体の動かし方が直感的に連想されますが、身体の感覚と実際の空気の動きには差があるときが多いです。

「しっかり吸っている」「しっかり吐いている」つもりでも、力みなどの要因で実際には空気が動いていない、ということが多々あり、そんな時に演奏上の不都合がよく発生します。

もちろん、ガソリンだけあっても話は始まりませんが、もし何かうまくいかないという場合には、空気の流れを視覚化して使い方を身につけてみることから素敵な発見があるかも知れません。

気持ち良く、沢山空気を使って「Wind instrument」の演奏を楽しんでいきましょう!

トランペット講師 高本

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