トロンボーン吹きの皆様、“逆スライド”ってご存知ですか?
トロンボーンという楽器は、通常、スライドが長くなると音が低くなります。
ですが、長さに限界があるので、あるところまで伸ばすと次はまた一番短い位置で、今度は息やアンブシュアを調整して違う音を出す。
そうすると、本当は音が低くなっているのにスライドは短くなる、という現象が起きてしまいます。
これが所謂 “逆スライド” と呼ばれるものなのです。
具体的に「B♭スケール」で解説すると・・・
図のように、音は下がっていっているのに、GとF、CとB♭でスライドを折り返しています。
この逆スライド、皆さん普段は何気なく、というか、ほぼ気に留めることなく吹いてらっしゃる方が多いのではないかと思うのですが、実はこれを少し意識することで、今まで吹けなかったフレーズや苦手なフレーズが簡単に吹けるようになるのです!!
階層について
以前のコラムでもお話しした通り、トロンボーンは、「各階層」と「その階層のポジショニングの組み合わせ」で音を変えます。
先ほどの「B♭スケール」でいうと、、、
*次のFからCまでは「Fの階層」
*最後のB♭は「低い方のB♭の階層」
たった8音のB♭スケールでも、3つの階層をまたいでいます。
ということは、GからFは、音階上1音しか変わっていませんが、階層が1段分変わっているのです。
楽器の抵抗について
そして、4ポジションと1ポジションでは楽器の抵抗も違う。
これらのことを意識せずに吹いてしまうと、スムーズに音が変わらなかったり、タンギングがうまくいかなかったりしてしまうのです!
私も昔はGとFの変わり目がうまくいかず、大変苦労をしました。
たくさん研究し、色々な方にアドバイスももらいましたが、大抵の場合、
『4ポジションと1ポジションは遠いのでスライドが遅いよ。』
と言われてきました。
もちろん、うまく吹けない原因はそこにもあります。
少し遠いポジショニングは普段よりスライドを速く動かすことも大事です。
まとめ
どれだけスライドを速くしてもやっぱり音がひっかかったり、アーティキュレーションが乱れたりする場合は、一度この階層にも目を向けてみてください。
そして、この逆スライド、曲を吹いているとありとあらゆる場所で出てきます。
もしも、いくら練習を頑張っても、どれだけゆっくり吹いてみても、どうしても吹けないフレーズや、思い通りにコントロールできないフレーズがあれば、この階層とポジショニングの関係を思い出してみてください。
どの階層からどの階層へ移っているのか、ポジションの抵抗・圧力はどう変わっているのか。
そういったことを少しだけ意識し、階層やポジションごとにベストな吹き方が出来れば、きっと苦手なフレーズもうまくコントロールできるようになると思います。
トロンボーン講師 井浪
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